カナダが好きだからこそ知っておきたい負の歴史 7選 

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わたし個人はカナダに住み始めて早くも18年が経過しました。その過程でカナダの素晴らしい部分をたくさん学びました。

カナダには大自然があって、ダイバーシティを尊重する素晴らしい文化があります。

これは他の国の文化にかかわらず、宗教やLGBTのような性的思考までかなり広く、日本にも見習ってほしいポイントがたくさんあります。

また仕事の面では日本よりも働きやすい環境(賃金や休暇など)が整っていて、カナダに永住できて感謝しています。

ここまで書いていくと、カナダはとても素晴らしい国で欠点がないのではないか?と思うかもしれませんが、そんなことは絶対にありません。欠点を知らないだけで存在しない事はないと思います。

そこでカナダが大好きな“Canada Ojisan”がカナダの負の歴史を知ってショックだった、いくつかの話をここで紹介します。

日系カナダ人は第2次大戦時に強制収容されていた。

日本人の方なら先の大戦で日本が敗戦したことは知っている方は多いと思いますが、それでもその影響で日系のカナダ人に何があったのかを知っている方はそれほど多くはないと思います。

1941年にパールハーバーを奇襲して太平洋戦争を始めた日本は快進撃で占領地を増やしていきます。

この影響で北米のカナダとアメリカ西部に住んでいる住民は日本軍のアメリカ西部への侵攻の可能性に言及して危機感をつのらせます

そして、一部のアメリカ人とカナダ人は北米の西部に住んでいる一部の日系の人々が日本軍と結託して反乱を起こすとして、そのような証拠もないにも関わらず強制収容所に送りました。

下記に詳しく書いてあります。

Internment of Japanese Americans - Wikipedia

この数はカナダのブリティッシュコロンビア州だけで2万人以上になったといいます。また驚くことにこのような処置は戦後すぐには終わらず1949年まで続いたと言います。

ただし、その後の1988年に当時のカナダの首相である、ブライアンモロリー首相は当時に強制収容されたすべての日系のカナダ人にカナダ政府を代表して謝罪をし、現在の為替レートで約200万円の賠償をすると表明しました。

個人の意見ですが、どちらも戦争の被害者のように思います。このようなことは二度と起きてほしくないですね。

黒人と先住民族に対しての差別が現在でもある

先程、さきの大戦中に日系のカナダ人に対する差別があったことを書きましたが、実はカナダの先住民族と黒人の方々に関しては今でもかなり高い頻度で差別があると言われています。

後で書きますが、カナダでも過去100年から200年間でとりわけ、非白人系の人種に対して差別が存在したのですが、現在は過去に比べると差別はかなり少なくなったと言われています。

カナダのトロントやバンクーバーなどのような大都市は多様性の文化が浸透して移民が多いのも理由だと言われていますね。ただし、ここに先住民族と黒人の方々の例は該当しないと言われています。

事実、2023年の現在でも根強く差別が残っていると言われていますね。

事実、カナダ政府のデータを引用すると黒人と先住民族の方々が過去の五年間で受けたとされている差別の割合は他の人種の方々に比べると高いようです。

この問題はかなり根深いものになりますので改めて別の記事で紹介したいと思います。

Experiences of discrimination among the Black and Indigenous populations in Canada, 2019
Using data from the 2019 General Social Survey on Canadians' Safety (Victimization), this Juristat article examines expe...

カナダの2万キロにおよぶ線路(CPR)は中国人の犠牲によって作られた

カナダには大きく分けて2つの貨物の鉄道会社が存在します。CNとCPですね。CNとはカナディアンナショナルレールウェイの略になります。

また、CPはカナディアンパシフィックレールウェイの略になります。このCPですが、西はカナダのブリティッシュコロンビアから東はカナダ最大の都市のトロントを抜けてニューヨークまでつながっていて全長は2万キロを超えます。

このCPの途方もない鉄道の建設に大勢の中国人の方々の労働があったことを知っている方はあまり多くないのかもしれません。

この鉄道建設ですが労働環境が悪く15000人の方々が建設に従事して、少なくても600人の方がなくなったと言われています。

しかも鉄道の建設工事が終わった直後の1885年にモンゴルと中国系の方々に新たに最大で$500の入国税を課すという政策を始めました、またこの政策は1923年まで続いたようです。←つまり、鉄道の建設は終わったので用済みになった。

当時のカナダ人の月収が250ドル程度ということですので、当時の入国税の$500が月収の2倍の額にもなったことがわかると思います。

カナダとアメリカの国境は独立をまもるための国境だった

カナダとアメリカは今は国境や言語や価値観を共有する国になっていますが、200年くらい前では戦争をしていました。

当時のカナダは今の英国の一部で、当時大は英帝国と言われた世界的な覇権国家で、独立戦争直後のアメリカと戦争を繰り返していました。

アメリカとカナダの国境は現在では世界で最長の国境と言われていて、紛争などをイメージさせるものは全くありませんが、国家の歴史ではつい最近の19世紀くらいまでは数々の戦争があっといいます。

とりわけ、有名なのが1812年の戦争です。この戦争では、アメリカの先住民族の方や現在のカナダの先住民族の方々も巻き込まれての戦いになって、結果的に多数の方がなくなりました。

そのために、カナダの博物館などではこの国境はカナダの独立を保つためのラインでアメリカとカナダは別の国ということを示しているとても重要なラインと説明している場所もあるみたいですね。

何はともあれ、これから先も平和であってほしいです。

カナダ人女性の選挙権は完全に認められたのは1951年の事だった。

個人的にはカナダの女性に1951年まで選挙権がなかったことには驚きました。日本は戦後の1945年には女性の参政権が認められたとされていますので日本よりも遅いことになります。

ただし、詳しく調べてみると1916年と1917年にはカナダのほとんどの州で選挙権は認められたものの、カナダの一部の地域では1950年代までまた国内の一部の民族には1960年まで選挙権がなかったといいます。

他にもカナダ政府は女性の賃金などに関する法律も1950年代に“Fair Remuneration Act in Ontario, in 1951”

によって男女の賃金を公平にする法律を制定したのですが、2020年の現在でも女性の賃金は男性の80%程度にとどまっていると言われていますね。

この金額は日本に比べるとかなりましですが、やっぱり理想は1:1の比率だと思います。

外国人の選挙権のはく奪や入国拒否について

先程、カナダではここ数百年の間に非白人系の人種に差別があったと書きましたが、現在では上記の人種方々(主にアジア系)への差別はかなり減っています。

上記の人種の方々の差別について最も古い記憶が残っている19世紀の後半には多くの中国人の方々がカナダに労働力として連れてこられました。

これは上記で説明をした通り、カナダ西部にまたがる鉄道建設の労働力として入国を許可したのでした。

しかしそれが終わると問答無用に入国税を掛け、またそれでも中国系カナダ人の人口が増え始めると選挙への影響を恐れて、今度は選挙権をはく奪するという暴挙に出ています

第一次大戦がはじまった1914年には英国連邦の一部であるはずのインドの入国を拒否したという負の歴史があります。

他にも1939年にナチスドイツの迫害から逃れてきた、ユダヤ人を入国拒否にしたり1942年から日本人を強制隔離したり選挙権のはく奪を行いました。

カナダ政府の公式のデータをもとにこの記事を書いていますが、それでも我々を含む、アジア人、ユダヤ人に対して差別があったことは否めないようです。

このような過去の教訓から差別などのない国になってほしいと心から思います。

Women's Suffrage in Canada
Women’s suffrage (or franchise) is the right of women to vote in political elections; campaigns for this right generally...

カナダに根強く残こるシスマティクレイシズムとは?

この記事では様々な差別の歴史を紹介してきましたが、実はいま現在でもカナダ国内では差別はあります。カナダは世界的に有名な人道国家だし国内での差別問題はないのだろう?と留学生に質問されたことがあります。

当然、そんなことはなく実はアメリカよりも深刻なのでは?という方も専門家でいるくらいです(個人的にはそうはおもいませんが)。

またこのシスマティクレイシズムとはカナダ社会に根付いた白人至上主義のことを言っているようですね。

カナダにある程度の期間、住んだことのことのある方なら会社の経営者や、弁護士、医者、教授などの職業に白人の方が多いのは知っていると思います。

これらの職業は他の職種と比べると高い賃金や高い地位にあり、彼らの子供も親の資金で高い教育を受けることができることになり、ここでループが起こると考えられるようですね。

確かに、弁護士、医者、教授などどれも高い学歴が必要なことが多い職業ですからね。

日本人の皆さんはアメリカでは深刻な人種への差別があることを知っている方はいると思います。カナダと違うところはアメリカは政府系機関が差別があるということを認めて、それをオープンにしている事とされていますね。

それに対しカナダの場合は差別があるもののそれを政府機関のレベルで否定していることです。この二つの国ですが、アメリカのように差別を認めている国ならその差別に対する対策も可能です

しかしカナダのように政府が否定している国ではそもそも、”カナダにはシステマティック差別がない(実際には存在するのに)のだから対策もとりようがない”ということになるようで、政府系機関の対策が全くないのが最大の問題と考えられているようですね。

(*注意*カナダ政府はカナダ国内に差別があることは認めているのですが、システマティックレイシズムがあることは否定しています。)

Racism
Racism is a belief that humans can be divided into a hierarchy of power on the basis of their differences in race and et...

まとめ

私もこの記事を書くためにカナダの負の歴史を調べるまでは、カナダの日系人の収容のことくらいしか知りませんでした。

しかしながら、今回の記事で色々なの人種の方々への差別、また女性というだけで選挙権をはく奪したり賃金が少ないということも勉強させていただきました。

このような事件が過去にあった(または現在進行形である)、ということをしっかりと理解して差別や偏見がない世の中になっていけばいいないと思います。

Markus WinklerによるPixabayからの画像

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